日本のビジネスシーンで近年注目を浴びているのが、ビズリーチの南壮一郎創業者です。
ビズリーチは、管理職や経営幹部、グローバル人材など即戦力・ハイクラス人材に特化した、国内最大級の転職サイトとして有名です。2009年のローンチ以来、数多くの企業と転職希望者に利用されており、南氏のビジネスセンスが光るプロダクトと言えるでしょう。
南氏の資産や年収については非公開の情報も多く、謎に包まれています。
本記事では、株式長者とも呼ばれる南壮一郎氏の資産や年収、生い立ち・経歴、ビズリーチを成功に導いた秘訣などについて、詳しく掘り下げていきます。ビズリーチが成功した背景には、独自のブランド戦略や、ビジネスインテリジェンスを活用した経営戦略があります。ぜひ最後まで読んで、ビジネス成功へのヒントをつかんでいただければと思います。
南壮一郎氏の資産とは|資産の内訳
南壮一郎氏の資産は、2009年に創業したビズリーチ(現ビジョナル株式会社)の株式資産によるところが大きいと思われます。
ビズリーチは、3C分析(Company、Customer、Competitor)や4P分析(Product、Price、Place、Promotion)といったマーケティング手法を駆使し、企業の採用担当者と転職希望者をマッチングさせる「B2B2Cモデル」を採用。企業は優れた人材を効率よく見つけ、転職希望者も自分に適した企業を探せるビズリーチのプラットフォームは、瞬く間に人気となりました。
リファラル採用を積極的に活用し、サービスの品質を高めることで収益増加にも成功。2010年にはプレミアム向けECモール「LUXA(ルクサ)」を創業しています。同事業は2022年2月28日を以て終了しましたが、通信大手KDDIと業務提携を結んでいたことからも、10年以上にわたり好調な業績を残し続けてきたことがうかがえます。南氏が所有していると思われる資産内訳(推定)詳細は以下の通りです。
資産項目 | 資産価値(推定) |
株式 | 1074億円 |
ECモールLUXA | 不明 |
その他 | 不明 |
ただし、具体的な資産額に関する情報は、南氏が所有するビジョナル株式会社の株数以外は公開されていないため、正確な金額を示すことはできません。しかし、南氏が手掛けるビズリーチやEC事業の成功を見る限り、総資産額は相当なものと推測されます。
南壮一郎氏の年収
南壮一郎氏の年収に関する具体的な情報は公にはあまり知られていませんが、ビジョナル株式会社の有価証券報告書によると、役員報酬総額は1億円。
役員数は5人であることから、これをもとに5等分すると、南氏の年収は2000万円程度であると推測されます。ただし、これはあくまで推測であるため、実際の年収は異なる可能性があります。ビジョナル株式会社の主力事業「ビズリーチ」では、転職市場における営業支援やアウトソーシングを提供することで収益化しているほか、グループ子会社内でHRテック事業を幅広く手がけており、収入源は多岐にわたりるものと思われます。ビズリーチでは効率的なワークフローや基幹システムを構築することで、企業運営のコスト削減に努めています。
ビズリーチが「ビジョナル株式会社」へホールディングカンパニー化した2020年以降、事業領域が拡大したことで、南氏の年収は更に増加していると予想されます。
南壮一郎氏の生い立ち、経歴
南壮一郎氏は、1976年に大阪府で生まれました。幼少期は静岡県磐田市に住んでおり、6歳から13歳までの7年間、父親の海外転勤に伴いカナダ・トロントへ移住。
帰国後は再び静岡県に戻ります。中学・高校時代はサッカーに打ち込み、高校時代にはキャプテンや静岡県西部地区選抜に選ばれるなど、その才能を発揮していました。そんな南氏の生い立ちと経歴について見ていきましょう。
本名 | 南 壮一郎(みなみ そういちろう) |
生年月日 | 1976年6月15日 |
出身 | 大阪府 |
最終学歴 | タフツ大学 |
主なキャリア | モルガン・スタンレー 東北楽天イーグルス |
幼少期・学生時代
南壮一郎氏は幼少時代、マイノリティの環境に身を置いていたようです。6歳から13歳までカナダ時代に通っていた学校では、唯一のアジア人だったといいます。
日本への本帰国後は、長い海外暮らしの影響で、日本語でのコミュニケーションがうまく取れないという問題も。勉強だけでなく生活そのものにも支障が生じ、カナダとの価値観・ルールの違いから、深く悩んだこともあったようです。
そんな南氏ですが、大学進学のタイミングで海外進学を選択します。高校では海外進学の前例がないため反対にあったものの、強い意思を貫き、アメリカのタフツ大学に無事合格。アメリカ・マサチューセッツ州へ渡航します。
社会人としてのキャリア
南氏は大学を卒業後、新卒でモルガン・スタンレーに入社。投資銀行部門でM&Aアドバイザリー業務を担当していました。いくつかの会社を経た後、2004年、株式会社楽天野球団に参画。
プロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天イーグルス)」の創業期を支えます。同球団ではチームの運営や各事業の立ち上げをサポートした他、GM補佐、ファン・エンターテイメント部長、パ・リーグ共同事業会社設立担当なども歴任。球団事業においては初年度からの黒字化を成功させるなど、将来の球団社長候補と見られていました。
高い貢献度にもかかわらず、2007年に楽天球団を退社し、1年間の世界一周旅行に出かけます。
ビズリーチ創業
世界一周旅行を終えた後、南は転職活動を開始しましたが、助言してくれるヘッドハンターの意見が食い違うことから、求職者と求人企業のミスマッチを実感。
これが契機となり、2009年4月、仲間7名で株式会社ビズリーチを設立します。同年、管理職・グローバル人材に特化した会員制ハイエンド転職サイト「ビズリーチ」を開始しました。多くの求職者と求人募集を行う企業を効果的にマッチングさせる独自のインターフェースで、瞬く間に転職市場の必須サービスに。2023年4月時点で登録者数202万人、導入企業数2万4800社、月間新規登録ユーザー数4万人超を記録しています。ビズリーチでは営業支援やカスタマーエクスペリエンス(CX)の充実にも力を入れており、顧客満足を最大限に高めることに腐心しています。
これにより南氏が創立したビズリーチは、業界内でも高い評価を得ています。
南壮一郎氏はビズリーチでどのように成功したのか
南壮一郎氏は証券会社から自身のキャリアをスタートし、プロ野球球団など異業種を体験した後、転職サービス「ビズリーチ」を創業。その後順調に事業領域を拡大してきました。南氏独自のブランドマネジメントについて深掘りしつつ、ビズリーチでどのように成功したのか、探っていきます。
ビズリーチ創業前〜創業初期
南壮一郎氏がビズリーチを創業する前の2000年代後半、ヘッドハンティング業界にはLinkedIn採用のようなプラットフォームは存在しませんでした。
そのため、企業と求職者のマッチングには多くの時間と労力がかかっていました。求職者は一から企業の情報を調べ、企業にコンタクトを取る必要があり、その逆もまた同様でした。南氏はこの点に着目し、企業と求職者を効率的にマッチングさせるプラットフォームを提供する転職仲介ビジネスを考案。企業と求職者双方の時間と労力を大幅に削減し、より良いマッチングを実現するため、起業準備を経た2009年、満を持してビズリーチをリリース。創業当初のビズリーチは未熟で資金も限られていたため、南氏は「1年以内に1億円集められなければ解散する」と宣言。
ビズリーチの成功に全力を注ぎました。結果、翌2010年には2億円超の資金調達に成功。その後も積極的なデジタルマーケティングとプラットフォームの改善をはじめとするカスタマーサクセスを追求し続け、業績を伸ばします。
ビズリーチ成長期
ビズリーチの成長に伴い会員数は増加し、多くのヘッドハンターが同プラットフォームを利用するようになりました。しかし、一般企業の人事担当者にはなかなか訴求することができないという懸念点もありました。
そこで南氏はテレビのCM広告を利用し、ビズリーチの認知度を高めることに成功しました。CM広告のおかげで会社はさらなる成長を遂げ、会員数200万人超、時価総額2500億円を超えるユニコーン企業へと急成長。ディスプレイ広告やリスティング広告も併用することで業界内での地位を不動のものとし、競合他社との差を大きく広げます。
ビジョナル株式会社の設立と、ホールディングカンパニー化
ビズリーチの躍進を受けて南壮一郎氏は2020年、次のビジョンとして持株会社「ビジョナル株式会社」を設立。翌2021年には、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場しました。
ビジョナル株式会社をホールディングカンパニーとして、ビズリーチを完全子会社化。ビズリーチを始めとする複数の事業を統括し、経営効率の向上と事業展開のスピードアップにも注力します。ビジョナルは、人材テックの分野だけでなく、事業継承やサイバーセキュリティ、物流テックの分野にも進出し、現在進行形で成長中です。
ビジョナルのホールディングカンパニー化により、南氏は数多くのメリットを享受しています。各事業の専門性を高め、より効果的な経営戦略を実行することが可能になった他、事業ポートフォリオの分散化により、社会経済といった外部環境の変化にも柔軟に対応できるようになりました。
これによりビジョナルは、ビズリーチのみに依存しない、安定した収益基盤を構築することに成功。ビジョナルは今後も新しい分野への進出を通じ、さらなる成長と発展を目指していくことでしょう。同社は2023年10月26日、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更申請を完了。
南氏の起業家精神と革新的なビジネスモデルは市場に大きな影響を与えていると言えます。
南壮一郎氏の資産を種別に考察
南壮一郎氏の資産に関する公開情報は少なく、不確実な部分も多いです。しかし南氏が手掛けるビズリーチやECサイトLUXA(ルクサ)の成功を見る限り、その資産額は高額にのぼると推測されます。ここでは南氏の資産を種別に考察していきます。
株式
南壮一郎氏の資産の大部分は、自身で設立し、現在も率いるビジョナル株式会社の株式から構成されているようです。ビジョナルは2021年4月22日、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場。このタイミングで南氏の資産は一気に増加しました。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、南氏の純資産は11億ドル(当時レートで約1230億円)に達し、日本屈指の大富豪となりした。
東洋経済新報社から発行されている『会社四季報』の大株主調査によると、南氏が保有する株式資産は、フリマアプリ「メルカリ」の山田進太郎社長に次いで第2位にランクイン。南氏が「株式長者」と呼ばれる所以です。南氏は2023年4月時点でビジョナルの発行済み株のうち、40.03%に相当する1546万1500株を保有し、時価は本稿執筆時点で約1075億円。ビジョナルが展開する会員制転職プラットフォーム「ビズリーチ」の急成長が、南氏の資産増加に寄与していることは明らかです。
株式以外
南氏の資産に関しては、ビジョナル株以外の情報は現在公開されていません。しかしながら大富豪となると、株式以外にも多様なアセットクラスに投資を行い、ポートフォリオの分散を図ることが一般的です。債券やゴールド、不動産といった伝統的な金融資産の他、海外の投資先にも目を向けることがあります。ただ、南氏の資産が具体的にどのようなアセットクラスに分散されているのかは不明です。
参考文献
まとめ|南壮一郎氏の成功からの学び
南壮一郎氏の成功の背景には、戦略的な経営ビジョンとアプローチがあります。ビジョナル株式会社とビズリーチが市場で成功を収めたのは、SWOT分析やPEST分析を交えた深い洞察と、競合他社とは一線を画したユニークなサービスによるものと言えます。南氏の成功から得られる学びをまとめると、以下のようになります。
- ニッチな市場を開拓:ビズリーチは、即戦力人材と転職希望者をマッチングするサービスで市場に新風を吹き込みました。競合他社と差別化を図り、成功を収めた南氏のアプローチには、カスタマージャーニーや顧客ロイヤリティを最大化するためのヒントが詰まっています。
- 成長市場に身を置く:ビズリーチは、成長著しい転職市場にいち早く参入し、即戦力人材をターゲットに絞ることで大成功を収めました。これは、ポジショニングと市場分析の重要性を示しています。
- 人脈の構築:ビズリーチの成功には、南氏の広い人脈も一役買っています。信頼できるパートナーや協力者の存在は、ビジネスの成功に欠かせない要素です。
- 成長を求め続ける:南氏は常に成長を求め、外部資金を活用しビジネスをスケールアップさせてきました。創業補助金や会社設立費用を調達し、自身のビジネスを発展させる道筋を考えることが事業を成功させる重要ポイントとなります。
これらの各ポイントを理解し、自身のビジネスに活かすことで、さらなる成長と成功を手に入れることができるでしょう。