2018年夏、満を辞してカジノ法案が成立しました。国会の承認を受けたことで、日本でカジノが解禁になるのではという期待の声が日増しに大きくなっています。

しかし、カジノ法案成立後の現在も、カジノで遊ぶ行為は引き続き違法となっているのが現状です。

単純そうで複雑なカジノ法案ですが、この記事では法案の詳細と、現在の審議状況に関する最新情報をまとめてお届けいたします。

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カジノ法案とは

カジノ法案とは、IR(統合型リゾート)実施法案の通称で、日本のカジノ規制に関わる法案のことです。2018年7月に成立したカジノ法案は、日本の経済のために重要な観光事業や地域活性化を促進する法案として、立案時から大きな注目を集めてきました。経済の活性化に役立つとされる一方で、治安の悪化やパチンコ業界への影響を懸念する声が聞かれています。

特にパチンコ業界からの反発は大きく、新興カジノに客を取られ、閉業を余儀無くされるパチンコ会社が相次ぐのではという懸念が寄せられています。その一方で、訪日外国人に新たな魅力を提供したり、地方行政にとって貴重な税金源になったりするなど、カジノ法案独特のメリットが多数存在するのも事実です。

カジノ法案 仕組み

出典:首相官邸

カジノ法案はもともと、カジノを含む統合型リゾートの設置に関わる法案です。そのため、カジノ単体を設置することは叶わず、設置箇所も全国で3箇所に絞られています。カジノ法案は、カジノでの勝ち分の30%を税金として徴収するとしており、課税割合が大きいのも特徴としています。

カジノの主要顧客である富裕層から大きな税収が見込めるとしており、日本経済の安定化に繋がるのがメリットのひとつです。カジノを主要事業とする都市は軒並み健康な財政を特徴としており、シンガポールやマカオなどが良い例です。日本もカジノ法案で経済を立て直し、年金やインフラ整備などの財源として活用したいという目論見があります。

また、観光事業に与える影響も無視できません。各都市がカジノで観光客を誘致することにより、地方活性化につなげることができます。カジノ法案というハードルの高い法案が審議を通過した背景には、こうした様々なメリットが存在することが大きな要因だと言えるでしょう。

カジノ法案の成立は、カジノ好きの日本人にとって待ちに待った一大イベントだと言えるでしょう。審議中もツイッターなどで「カジノ法案どうなった?」というコメントがよく聞かれましたが、実際に成立を迎えたことでカジノ設置への動きが急加速するものと目されています。

実際にカジノを設置するためには、設置先の地方自治体が草案を創出し、国による審査を通過する必要があります。カジノ法案は最新カジノの設置先に「カジノ免許」を付与することで健全な運営体制を保証するとしており、カジノ開業前には完成検査も行う予定です。

現在の最新情報

カジノ法案は、数年にわたる審議の末に成立を迎えました。しかじ、現在も日本でカジノだけを設置することはできず、お金を賭けて遊ぶ行為も引き続き違法とみなされています。地方政府は現在、統合型リゾート設置に関する具体的な案を捻出している段階で、実際にカジノ付き施設が設置されるのは数年後になると見られています。

そんな中、大阪府と長崎県は2022年4月にIR設置計画を発表し、国土交通省に計画の審査を要求しました。大阪は大阪ベイに浮かぶ人工島の夢洲に、長崎はハウステンボスにIRを設置したいとしています。予定通り進めば、それぞれ2029年秋と2027年夏に開業する予定で、年間売り上げはそれぞれ5,200億円(うちカジノが4,200億円)と2,716億円(2,003億円)を見込んでいます。

カジノ法案 大阪 長崎

出典:国土交通省

大阪案にいたっては、審査委員会による審査が終了しています。特に施設規模、運営能力、地域経済への効果などの項目で高得点を獲得しており、カジノ法案の核である日本経済への好影響に期待できると言えるでしょう。設置先の夢洲は2025年の大阪万博の開催地でもあり、国際的な知名度上昇にも大きな期待が寄せられています。

反面、カジノ法案でも集中的に審議された近隣住民への影響はやや評価が低く、治安や騒音問題に関しては不透明なところがあると言えます。全体的には基準点以上の計画内容となっており、実現すればカジノ法案成立後初(または長崎についで二番目)の日本産カジノとなることが期待されています。

大型カジノの運営は日本初の試みとなるため、他の自治体はカジノ設置に慎重な姿勢を崩していません。運営モデルとしては、2005年にカジノ解禁法が制定され、2010年に実際にカジノをオープンしたシンガポールを参考にする動きが主流となっているようです。

実際にカジノを設置するとなると、施設周辺の住民の支持を取り付ける必要性も生じてきます。前述のように治安悪化を懸念する声が大きく、「カジノ法案、メリットよりもデメリットの方が大きいのではないか」とみる人も少なくないようです。パチンコ業界への影響も無視できず、カジノ法案と地方事業の間で板挟みになる自治体も出てきているようです。

このように、法案成立後も課題が山積するカジノ法案ですが、主に税金問題などからカジノ設置を急ぎたいとする自治体があるのも事実です。履行後は日本人のカジノ観を変えると言われるカジノ法案ですが、そのメリット・デメリットとパチンコ業界への影響について、以下の項目にまとめました。

カジノ法案のメリット

カジノ法案のメリットには、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 地方活性化(観光客を誘致できる)
  • 財政の健全化
  • 雇用機会の創出

地方活性化

カジノ法案は、地方に観光客を誘致したり、若者を地方に引きとどめたりするのに有効だと言われています。これは、カジノの場所を選ばない性質が、より多くの観光客を招き入れたいという地方の思惑と合致しているためです。また、地方のみならず東京や大阪などの大都市でも、カジノを中心とした経済圏を構築できるというメリットがあります。

また、統合型リゾート設立に際してインフラの再整備が進むというメリットもあります。特に国際空港、都市部、リゾートを結ぶ経路は交通の便が良くなることが期待でき、このことは生活の質の向上と経済の活性化の両方を同時に達成できる点でも優れています。

財政の健全化

カジノ法案は、カジノでの収入に30%の税金を課すことを規定しています。これにより、少子化などが原因で悪化の一途をたどる日本の財政状況を改善できる可能性があります。カジノの利用者には富裕層が多いため、富の再配分を行えるというメリットもあります。

訪日外国人に訴えることで、外貨獲得につながるのもポイントです。カジノは高齢者でも無理なく遊べるため、いわゆる「眠っている資産」を引き出して経済の好循環を生み出すことも期待されています。カジノ自体は単なる娯楽施設のため、生産性を上げるものではありませんが、その経済効果は国の財政に多大な影響を与えるものと言って良いでしょう。

雇用機会の創出

統合型リゾートは、カジノを含め様々な施設を同時に運用する大型事業です。そのため、一度設置が決まれば大きな雇用機会の創出につながると期待されています。前述の地方活性化と財政の健全化とも相乗効果があり、順調な運営が続けば持続的に雇用を生み出し続けると言われています。

すでにIR整備計画を発表している大阪の場合では、カジノ設置により11.6万人の雇用創出が見込めるとしており、雇用に与える影響の大きさがうかがえます。

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カジノ法案のデメリット

シンガポール IR カジノ

カジノ法案には以下のようなデメリットもあります。

  • 治安の悪化
  • ギャンブル中毒者の増加
  • 道徳感に影響を与える

治安の悪化

おそらく最も懸念されているのは治安の悪化で、日本人にとってカジノ法案は悪法であると言う人も少なくないようです。特に反社会勢力との関係性は大きな懸念を生み出しており、自身の居住地にIR(統合型リゾート)が設置されるのは絶対に反対という人も多数います。これに対して政府は、IR設置に際して①反社会勢力との関係がないこと、②地域社会に良い影響を与えることが保証されている、などの項目を精査した上で設置を許可するとしており、カジノ乱立という事態を防ぐために努力する姿勢を示しています。

ギャンブル中毒者の増加

カジノの設置がギャンブル中毒につながることは想像に難くないですが、実際にはカジノ法案によりギャンブル中毒への関心が高まり、中毒者減少につながったという例もあるようです。前述のシンガポールは、カジノ解禁とともにギャンブル中毒者向けの治療施設を設置するなどして、この問題に効果的に取り組んでいます。しかし、こうした取り組みなしでカジノを運営することはデメリットが大きいのも事実で、しっかりとした対策を行うよう、政府に働きかけを行っていくのが重要です。

前述の大阪案では、ギャンブル依存症対策として支援拠点である「大阪依存症センター(仮称)」を設置するとしており、依存症に対する認知度の向上も期待できると言えるでしょう。ただし、今後増えると見込まれる電子ゲーム関連の依存症対策は手探りのところが多く、新種の依存症が出てくるのではないかという懸念があるのも事実です。

道徳感に影響を与える

日本人特有の懸念として、カジノ法案が勤労感謝の道徳感に影響を与えるのではという意見もあります。このことは前日のギャンブル中毒とつながっていると言え、人々に「カジノは遊ぶためのもので、儲けるためのものではない」という意識を植え付けられるかどうかが重要となります。前述のように、カジノ法案は日本に新たな雇用の機会を提供するものでもあるため、カジノが持つマイナスのイメージをどのように払拭していくかが今後の課題となるでしょう。

カジノ法案と日本人への影響

カジノ法案が日本人に与える影響は大きく、実際に複合リゾートができた時には予想外の結果をもたらす可能性があります。国民一人一人が持つ責任も大きく、節度を持ってカジノを利用するだけでなく、カジノ法案の施行状況を把握することが必要となります。現在、カジノ法案による複合施設の設置は目処が立っていませんが、今の間に法案の中身や税率などを把握することが求められています。

カジノ法案は注目度は高くとも、日本人にとっては他人事とみなされることも多いようです。これは日本人にとってカジノが見慣れない存在であることが影響しており、「カジノ法案の最新動向を把握していない」という人も少なくないようです。しかし、税金や雇用の問題に直結するカジノ法案は、知らないでは済ませられない存在だと言えるでしょう。

カジノ法案 プロセス

出典:国土交通省

大阪や長崎など、IR整備を進める地域の住民はこの問題に大きな関心を寄せているようです。特に大阪は近隣住民に対する情報発信に努めており、カジノ法案が日本人に与える影響を考慮した取り組みを行っています。

ただし、カジノ目当てで訪日する外国人観光客が与える影響は予想しづらく、実際にカジノ法案がどのようなメリット・デメリットを持つかはカジノ開業後に明らかとなる部分が大きいと言えます。特に交通に与える影響は予想が難しく、カジノが日々の生活に与える影響は不透明だと言っても良いでしょう。

現在、日本にギャンブル依存症の人は約280万人いると推計されており、これは人口の約2.7%にあたります。カジノ法案は依存症の予防策を提示していても、発症後のケアが手薄なのではないかという意見もあり、こうしたことも一般社会に不安をもたらしている可能性があります。

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カジノ法案とパチンコ業界への影響

パチンコは厳密には遊技とみなされており、管轄も警察庁が行っているため(カジノは内閣府が管轄する予定)、表面上はカジノとは別の産業に属するとされています。しかし、カジノ法案がパチンコ業界に大きな影響を与えることは明らかで、パチンコ会社は対応を余儀なくされています。

ただし、パチンコとカジノは利用層が異なるため、予想されているほど大きな影響はないのではないかという声もあります。例えば、パチンコが一般的な収入の人に利用されることが多いのに比べ、カジノは高所得者の利用が多いとされています。また、居住地域で考えると、パチンコが主に近隣住民に利用されるのに対し、カジノは国内外の旅行者による利用が主となることが予想されています。

また、遊べるゲームの種類や内容についても明確な差があると言えるでしょう。パチンコは専用メーカーがパチンコ台を提供していますが、カジノは国際的に認められた一般的なゲーム(ルーレットポーカースロットなど)を採用するケースがほとんどです。

カジノ法案 規制状況

出典:首相官邸

その性質上、カジノは独創的なルールのゲームを採用しづらく、パチンコとカジノは住み分けが進む可能性もあります。先に言及したギャンブル依存症対策が進むことで、カジノ法案はパチンコ業界に良い影響を与えることもあり得るでしょう。

ただし、専門家による分析を欠いているという事実もあります。国によるIR計画の審査項目にも、カジノ開業が既存産業に与える影響はなく、国はパチンコ業界に対して特別な配慮を示していません。そのため、カジノ法案によりパチンコ業界が甚大な影響を受けた場合でも、政府による支援は期待できないと言えるでしょう。

このことは、パチンコ根絶を願う人々から歓迎される一方で、パチンコの愛好家には危機感を持って受け止められているようです。実際、カジノ法案がどうなったか気になる人の中にはパチンコファンが多いとも言われており、法案にデメリットあれどもメリットなしと決めつける人も多いようです。

カジノ法案まとめ

国や人々に与える影響の大きさから、カジノ法案は審議に多くの時間が費やされてきました。法案が成立した後も、日本人に与える影響は未知数なところが多く、そのメリット・デメリットに関しては現在も議論が続いています。

特にパチンコ業界はカジノ法案の最新状況に目を光らせており、IR整備がどうなったか気にかけている人は多数いるようです。大きな税金収入が見込めることから、カジノ法案に対しては肯定的な意見が多数派を形成する一方、カジノ設立後は予期せぬ問題に直面することを危惧する声も聞かれています。

カジノ法案が良案と言えるかどうかは、地方自治体が噴出する問題にうまく対処できるかどうかによると言えるでしょう。野心的なIR整備計画を掲げる大阪は、他の自治体に先駆けてカジノ運営の基礎を作ることに意欲を示しています。

この記事ではカジノ法案がどうなったかをお伝えしてきましたが、実際に統合型リゾートが開業する2027年(長崎の場合)になって初めて、法案の良し悪しが判明することとなります。いずれにせよ、カジノ法案は日本における今後のオンラインカジノを含めるギャンブルのあり方を根本から変えるものだと言えるでしょう。

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カジノ法案のよくある質問

カジノ法案、結局どうなった?

カジノ法案のメリットとは?

カジノ法案のデメリットとは?

カジノ法案によるパチンコ業界への影響とは?