GoogleやYahooのディスプレイ広告は、顧客に効率よく製品をアピールする方法です。表示するコンテンツによっては非常に高いクリック率が得られるため、広告に多大な制作費を費やす企業も少なくありません。
この記事では、そんなディスプレイ広告の種類、費用、リスティング広告との違いなどを紹介します。
ディスプレイ広告とは
ディスプレイ広告とは、ウェブサイトやアプリ上で表示される広告のことです。デジタルマーケティングの手法としては、今や最も定着している方法と言えます。
画像や動画を用いて視覚的に訴えられるため、テキストベースの広告と比べて訴求力が高いのを特徴としています。その種類も幅広く、日々新しいタイプの広告が開発されています。
ディスプレイ広告はリスティング広告と違い、コンテンツの質がクリック率に直接影響します。ターゲット顧客に製品、サービス、ブランドの3点を宣伝し、販売を促進することを目的としています。
ディスプレイ広告は、Googleなどのウェブサイトで掲載されるのが最も一般的です。アプリ内で表示されることもあり、この場合はクリック率が高くなる傾向があります。広告の内容はターゲット顧客の興味をそそるものに設定されており、商品の詳細情報は掲示されないことが多いです。
ディスプレイ広告のメリットとして、インパクトの高さとコンテンツ内容の豊かさが挙げられます。非常に自由度が高いため、斬新な広告を作成することで多くの人から注目を集められるのも利点のひとつです。また、リスティング広告では不可能なブランドイメージの向上も行えます。
一方、Google広告などのディスプレイ広告は、ブラウザの広告ブロック機能などによって遮断される可能性があります。このため、思ったよりも多くのユーザーに表示されないということもあり得ます。また、コンテンツの制作費がかかるのは言わずもがなで、新しい広告を掲載する際は工程がかさむのもデメリットです。
ディスプレイ広告はデザインが重要なため、腕の立つクリエイターに制作を任せることが不可欠だと言えるでしょう。次の項目では、Googleディスプレイ広告について説明します。
なお、コンテンツマーケティングに比べて、効果の即時性が高いものの、持続性がないことが懸念事項として挙げられます。
Googleディスプレイ広告
Googleディスプレイ広告は、Googleが提供するプラットフォームを介して配信される広告です。主にGoogleが管理するウェブサイトやアプリで表示され、どの顧客に対して表示するかを設定することができるのを特徴としています。
Googleディスプレイ広告のやり方は以下のとおりです。
ステップ1:Google広告アカウントを作成する
Google広告の公式ウェブサイトにアクセスし、アカウントを作成します。既にアカウントを持っている場合は、ログインします。
ステップ2:キャンペーンを作成する
ダッシュボードにログインすると、左側のメニューから[キャンペーン]をクリックします。プラスボタンをクリックして[新しいキャンペーンを作成]をクリックすると、キャンペーンを作成できます。その後、任意の数のキャンペーン目標(コンバージョンなど)を設定したら、広告グループの作成に進みます。
ステップ3:広告グループを設定する
キャンペーンを作成したら、広告グループを設定します。ターゲットとする顧客層を、地域、言語、興味関心などに基づいて指定し、ディスプレイ広告を表示する顧客を定義します。
ステップ4:広告フォーマットを選択する
次に、広告グループ内で広告のフォーマットを選択します。バナー広告、ネイティブ広告(表示先のウェブサイトに自然に溶け込む広告)、動画広告などから選択可能です。選んだフォーマットに合ったコンテンツを作成します。
ステップ5:広告を作成する
選択した広告フォーマットに合わせて広告を制作します。クリエイターに任せるのが一番ですが、単純な画像広告などの場合は自分で作成しても良いでしょう。
ステップ6:入札と予算を設定する
クリック数に基づく入札(CPC)や表示回数に基づく入札(CPM)などがありますので、好きな入札戦略を設定します。最後に予算(日々の広告費用の上限など)を設定したら、広告を公開することができます。
費用
Googleディスプレイ広告費用は、主に次の3つの要素で成り立っています。
- 1日の費用の上限
- クリック単価
- インプレッション単価
1日の費用の上限は、1〜2万円程度が相場とされています。個人事業主や小規模のビジネスの場合、さらに低い値に設定しても良いでしょう。クリック単価はクリック率にもよりますが、おおよそ50〜80円程度が相場です。
インプレッション(広告を見た人の数)に対して単価を設定することもでき、こちらは1,000回視認されるごとに50〜200円程度支払うのが相場です。どちらの設定も自分で変更できるため、予算に合わせてディスプレイ広告費用を設定すると良いでしょう。
Yahooディスプレイ広告
Yahooディスプレイ広告は、Google広告と並んで人気のある配信広告です。基本的にはGoogle版と同じ仕組みですが、Yahooが提供するウェブサイトやアプリ上でのみ表示されます。
Yahooディスプレイ広告のやり方をまとめました。
ステップ1:Yahoo広告に申し込む
まず、YahooにアクセスしてYahoo広告に申し込みます。申し込みにはストアのURLなど、ビジネスに関する情報が必要となります。その後、広告管理ツールにログインしてディスプレイ広告のアカウントを作成します。
ステップ2:広告を準備する
次に、キャンペーンに使用する広告を準備します。ディスプレイ広告のサイズは種類により異なりますが、レスポンシブ広告の場合はアスペクト比1:1かつピクセルサイズ300×300である必要があります。広告を準備したら、ターゲット層の設定に移ります。
ステップ3:ターゲット層を設定する
次に、地域、年齢層、興味関心などの項目からターゲット層を設定します。複数のターゲット層を設定することもできますが、宣伝する製品・サービスに合致したターゲットを設定しないと効果がありませんので注意しましょう。
ステップ4:予算と表示回数の上限数を設定する
次に、1日の上限予算を設定します。設定した以上の金額は請求されない仕組みになっていますが、広告の表示頻度によっては予算の120%まで請求されることがあります。Yahooは1日の予算を目安の設定としていますので、この点には注意が必要です。
また、同一ユーザーに何度まで広告を表示するかを設定することもできます。これはフリークエンシーキャップと呼ばれ、同じユーザーあたりの接触頻度をコントロールすることが可能です。
以上が終了したら、Yahooディスプレイ広告を表示することができます。その他にも、データフィードに基づいて商品情報を自動でアップデートする「動的ディスプレイ」モードなどもありますので、広告運用に慣れてきたら高度な設定を試してみるのも良いでしょう。
費用
Googleと同様、Yahooディスプレイ広告費用もクリック単価で50〜80円が相場となっています。インプレッションについても同様で、1,000回表示ごとに50〜200円程度に設定すると良いでしょう。
ディスプレイ広告種類
ディスプレイ広告の種類には、主に以下のようなものがあります。それぞれにつき作成方法や広告戦略が異なりますので、メディアごとの特性をよく把握するのが重要です。
バナー広告
バナー広告は、ウェブサイト上でよく見かけるレスポンシブなディスプレイ広告です。テキストと画像を組み合わせたデザインが一般的で、サイトトップや両脇などに表示されることが多いです。常に画面内に表示されるものもあり、視覚的効果が高い一方、敬遠されることも多いというデメリットがあります。
ネイティブ広告
ネイティブ広告は、サイト上のコンテンツに自然に溶け込むような形で表示される広告です。記事やニュースの中に挿入されるのが一般的で、コンテンツと同様のスタイルやトーンを持つという特徴があります。広告としての違和感が少ない一方、バナー広告と比べるとインパクトは小さめだと言えます。
動画広告
動画広告は、テキストや画像の代わりに動画コンテンツを使用した広告です。ウェブサイト内で再生できるため、より動的かつ物語性のある宣伝が可能とされています。
最近では、ソーシャルメディアが盛んに使われているので、インフルエンサーマーケティングとの合わせ技でディスプレイ広告を使うことも可能です。
レスポンシブ広告
ディスプレイ広告はレスポンシブなものが多く、ユーザーが使う端末の画面サイズに合わせて広告サイズが自動で最適化されます。SNSプラットフォームなど、様々な種類のデバイスでアクセスできる場所に広告を出す際は、レスポンシブであることが必須条件となります。
ファインド広告
Google広告の一種で、一般的なディスプレイ広告とファインド広告の違いは「Googleが所有するサービスで配信しているか」という一点のみです。画像と動画の二種類に対応しており、Googleが持つ膨大なデータを活用することで効果的なマーケティングが可能とされています。
ディスプレイ広告とリスティング広告
ディスプレイ広告とリスティング広告は、どちらも効果的な宣伝手法として企業を中心に採用されています。別のウェブサイト(ニュースサイトや検索エンジンなど)から間接的に集客するという意味では、両者は目的を共有していると言えます。
リスティング広告とディスプレイ広告の最大の違いは、接触できる顧客層とコンテンツ内容です。それぞれの違いについて、下にまとめてみました。
顧客層
ディスプレイ広告は、ターゲット顧客が閲覧するウェブサイトやアプリに直接表示されます。そのため、接触顧客は表示される製品やサービスに関心を示す可能性が高いと言えます。また、広告の閲覧時間が長いため、消費者により長く複雑なコンテンツを届けることができます。
一方のリスティング広告は、特定のキーワードに対する検索結果のページに表示されます。キーワード設定にもよりますが、すでに製品の購入を検討しているような購入につながりやすい顧客を狙い撃ちすることができます。価格やセールスポイントを凝縮して提示できるため、コンバージョン率が高いのが特徴です。一方で、広告あたりの表示時間(視認時間)は短く、競争が起こりやすいのがネックです。
おすすめな流れは、4P分析などを行なった後に、より広告の効果がありそうなターゲットを定めてから、ディスプレイ広告を開始する手順です。やたらに開始しても、費用がかさむだけなので注意しましょう。
コンテンツ
ディスプレイ広告とリスティング広告は、コンテンツ内容が大幅に異なります。ディスプレイ広告は画像、動画、ゲームなどの操作可能な広告を含みますが、リスティング広告は基本的に文字のみ(ショッピングページでは画像もあり)のコンテンツとなります。
ディスプレイ広告の方が内容に富んでいますが、その分広告の制作費と手間がかさむのがデメリットです。リスティング広告は、商品のフィード情報さえあれば自動で大量に用意することができるため、どちらも一長一短のマーケティング手法だと言えるでしょう。
ディスプレイ広告まとめ
ディスプレイ広告はクリック率が高く、YouTubeやAmazonでも展開できる優れたマーケティング手法です。単なるバナー広告と違い、様々なメディアタイプに対応しているほか、種類やサイズも融通が効くことが多いのが魅力です。
中でも、Googleディスプレイ広告は採用していない企業はないと言って良いほどの人気を誇ります。リスティング広告と違い、コンテンツの内容にこだわることで費用対効果の良い効果的な宣伝を展開することができます。
実際に広告を展開する際は、ターゲット顧客の特定など、事前準備が必要となります。展開後もリーチを分析したりする必要がありますので、Yahooディスプレイ広告などを始める際は基本方針を定めてから始めるようにすると良いでしょう。