顧客は問題に直面した時、商品やサービスを購入する前に自身の手で問題解決を図ります。そんな時に無料で役に立つ情報を提供することで、顧客のニーズを満たしながら商品購入を促進することができます。

こうした手法はコンテンツマーケティングと呼ばれており、現代のインターネット販促において欠かせないテクニックだと言えます。この記事では、コンテンツマーケティングのやり方や事例をまとめて紹介します。

コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、企業のWebサイトなどで、有用なコンテンツを提供することで商品を効果的に販促する取り組みのことです。戦略的なマーケティングアプローチとして知られており、顧客の興味を煽り自社製品の購入を促すことを最終目的としています。

コンテンツマーケティングは、直接製品やサービスを売るものではありません。むしろ、顧客が抱えている問題を解決するような有用なコンテンツを提供することで、間接的に商品をアピールするという形を取ることがほとんどです。

企業向けのBtoBコンテンツから個人向けのBtoCコンテンツまで、様々なコンテンツが存在します。共通して言えることは、マーケティングそのものが顧客にとって有益であることと、通常は無料で受け取ることができることなどです。

リスティング広告とは異なり、ランニングコストが非常に低いため、コンテンツマーケティングに成功すると、収支が安定する傾向があります。一方で、コンテンツマーケティングは、軌道に乗るまでの期間が長いため、辛抱強い取り組みと確かなスキルが必要です。

効果的なコンテンツマーケティングには文書化されたコンテンツマーケティング戦略が欠かせません。どのような顧客層をターゲットとしているか、顧客が抱える問題にはどのようなものがあるか、どのような形でコンテンツを配信するのが良いかなどを考慮する必要があります。

コンテンツマーケティング

また、提供する情報は質の高いものである必要があります。販促だけを目的として粗悪なコンテンツばかりを提供している場合、客離れやブランドイメージの悪化を引き起こしかねません。そのため、真の意味で有用な情報を提供することが重要です。

コンテンツマーケティングをわかりやすくまとめると、以下の通りとなります。

  • 有益な情報を消費者に提供することを目的とする
  • 無料で利用でき、それ自体が顧客にとって価値を有する
  • 売りたい商品を紹介するような内容を含むこともある
  • 商品の購入ページに誘導することで、購入を促す
  • メール配信やウェブ広告などの形を取ることが多い

なお最近では、コンテンツマーケティングを自社サイト上でなく、SNSマーケティングの一環として、ソーシャルメディアプラットフォーム上で、実施していることも多々見受けられます。例えば、ためになる記事をLinkedin上の自社公式アカウントでリリースし、フォロワーを教育する、あるいはブランド認知度を挙げるなど、新しいLinkedinの使い方を行なっている会社も出てきています。

コンテンツマーケティングSEO

SEO

コンテンツマーケティングとSEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)は、切っても切れない関係にあります。メール配信など、直接顧客に情報を届ける場合を除き、会社が作成するコンテンツはGoogleなどの検索エンジンを通して顧客に提供されることがほとんどだからです。

作成した記事が消費者に読まれるためには、①顧客がよく検索するキーワードに基づく内容を扱っている、②そのキーワードが記事中に多く現れる、という2つの基準を満たしている必要があります。これは、検索エンジンは検索ワードと関連性の高いページを優先して表示するためです。

そのため、SEOはコンテンツマーティングに欠かせないプロセスだと言えます。よく検索されるキーワードを調査し、記事内に関連ワードを自然な形で盛り込むことは、SEOマーティングにとって不可欠だと言えるでしょう。

これを促進するためのツールも多数存在し、代表的なものにGoogleアナリティクスやAhrefsがあります。キーワード選定とトレンドの把握を同時に行えるため、コンテンツマーケティングの費用対効果を上げる上で必要不可欠なツールだと言えるでしょう。

SEOに基づくコンテンツマーケティングは、次のような流れをたどることが多いです。

SEOコンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングの種類

コンテンツマーケティングの種類には、以下のようなものがあります。

  • メール配信・・・会員などを対象に、メールを通じて顧客に直接コンテンツを提供する手法です。SEOの必要がない、コンテンツの閲覧時間が長いといった特徴があります。
  • SNSでの宣伝・・・費用対効果の高いコンテンツマーケティングです。既存顧客と見込み客の両方に商品を宣伝できますが、コンテンツの閲覧時間は短く、どちらかというと質より量で勝負するタイプの宣伝戦略です。
  • ブログでコンテンツマーケティング・・・SNSを用いた宣伝と似ていますが、商品へのアクセスがより簡単、リピーターに宣伝できるといったメリットがあります。公式ブログだけでなく、コンテンツマーケティング専用ブログを用いるのも一般的です。
  • SEOコンテンツマーケティング・・・最も商品購入に至りやすい手法とも言われています。記事を読む顧客は高い購入意欲を持っているため、コンテンツの質が販促効果に直結すると言えます。
  • 製品内コンテンツ・・・自社の製品内で他の商品を販促する手法です。既存顧客に対する宣伝効果が非常に高い一方、新規顧客を獲得できないという欠点もあります。
  • インフルエンサー・・・有名配信者などによる動画コンテンツマーケティングです。訴求力が高い一方、ターゲットの顧客を狙い撃ちにできないのがネックとされています。

コンテンツマーケティングの種類には、それぞれメリットとデメリットがあります。複数組み合わせて用いるのが一般的ですが、その分費用が増大するのが悩ましいところです。

中小企業などの規模の小さい会社では、どれかひとつしか実施できないという場合もあるでしょう。

コンテンツマーケティング事例

ここでは、BtoCとBtoBのコンテンツマーケティング事例を紹介します。

レッドブル

redbull

レッドブルは、エクストリームスポーツを題材にしたコンテンツマーケティング戦略で知られています。有名選手が様々なチャレンジに臨む姿を捉えたドキュメンタリー番組を制作しており、主力商品のエナジードリンクが作り上げるブランドイメージと完璧に合致したコンテンツ内容だと言えるでしょう。レッドブルのコンテンツマーケティングは、いわゆる、ブランドマネジメントの一部を担っています。

ダヴ

dove

化粧品会社のダヴは、「リアルビューティ」と銘打ったキャンペーンを展開しています。これは動画やSNS投稿を通じて女性の美への取り組みを紹介するものです。ブランドの持つ美意識を視覚的に表現しており、コンテンツマーケティングの成功事例のひとつだと言えます。コンテンツマーケティングの記事をもとに、良い経験をすることで顧客ロイヤルティーも確保できるので、一石二鳥以上の効果を発揮しています。

ナイキ

nike

ナイキの「Just Do It(ジャスト・ドゥ・イット)」キャンペーンは、インスピレーション溢れる動画を配信する企画です。スポーツ選手の努力と成長の物語を紹介することで、自社のスポーツ商材の購入を促進する狙いがあります。また、同様のスローガンをプリントした限定シャツなども販売しており、コンテンツマーケティング自体が商材でもあるというユニークな例だと言えます。

スターバックス

スターバックス

スターバックは、「スターバックス・ストーリーズ」というブログ記事を展開しています。コーヒーの仕入れ過程、環境に対する取り組み、従業員のコーヒーに対する思い入れなどを紹介することで、ブランドイメージと客足の向上を図る狙いがあります。この手のコンテンツは愛好家の間でも人気が高く、口コミを中心に知名度を上昇させることができるのも特徴です。

GoPro

GoPro

アクションカメラ業界最大手のGoProは、ユーザーが自身のカメラで撮影した動画を共有するキャンペーンを展開しています。ユーザーにコンテンツ作成を委ねることでコストを削減しつつ、カメラの質や機能性を効果的に宣伝しています。コミュニティー人口の多い人気ブランドならではのコンテンツマーケティング手法だと言えるでしょう。

LEGO

lego

大人のファンも多いLEGOは、工作方法やLEGOにまつわるストーリーなどを公式サイトやSNS上で公開しています。子供と大人の両方が楽しめるコンテンツを作成することで、幅広い人々から注目される仕組みを要するのがポイントです。子供の願いは断れないという親の心理をうまく利用したマーケティングだと言えるでしょう。

Apple

apple ロゴ

アップルはiPhoneユーザーが撮影した写真や動画を特集する企画を実施しています。iPhoneカメラの品質をアピールするだけでなく、デザイナーなどの注目を集めることができるのがポイントです。また、アップル側としてはユーザーのアイデアを商品開発に利用したり、バグや問題点を把握できるなどのメリットもあります。

コンテンツマーケティングツール

コンテンツマーケティングツール

コンテンツマーケティングツールには、以下のようなものがあります。

  • Googleトレンド・・・検索キーワードを調べるのに最適
  • Googleアナリティクス・・・ウェブサイトのトラフィックを解析できる
  • Ahrefs・・・・競合他社のパフォーマンス調査もできる

Googleトレンド

キーワードを入力するだけで最新トレンドを把握できるコンテンツマーケティングツールです。特定の時間帯や地域で頻繁に用いられている検索キーワードを調べ上げるのに適しており、Googleが持つ大量のデータに基づいた正確性を特徴としています。

Googleアナリティクス

Google アナリティクスは、Google が提供するウェブ分析ツールです。特定のウェブサイトやアプリのトラフィックやユーザー行動を追跡・分析できるため、コンテンツマーケティング効果測定に最適だと言えます。データの視覚化やリアルタイムデータの活用など、様々な機能を有しています。

Afrefs

世界的に使われているSEOコンテンツマーケティングツールです。「世界中で60万人が利用している」としており、キーワード調査ができるのはGoogleトレンドと同様ですが、Afrefsは競合他社のマーケティング実施状況を調べるのにも適しています。無料版はありませんが、月額99ドル(1万4,500円程度)で利用できるのも魅力です。

コンテンツマーケティングまとめ

非常に奥深いコンテンツマーケティングですが、ユーザーに有益な情報を提供するのが主要目的ということに変わりはありません。商品の宣伝だけに焦点を当てていると効率の低下や客離れを引き起こしかねませんので、何のためにコンテンツを配信するのかを常に把握するようにするのが重要です。

コンテンツマーケティング事例からは、自社のブランドイメージや主力商品と合致したコンテンツを提供することの重要性が伝わってきます。質の良いコンテンツを提供するためにも、コンテンツマーケティングは代行するより、自社で手がけた方が良い場合もあるでしょう。

コンテンツマーケティングのやり方がわからないという人は、セミナーに参加するなどの方法も考えられます。いずれにせよ、実施する際はメリット・デメリットをしっかりと理解して正しい方法で実施すると効果的に商品を宣伝することができkます。