混迷を極める中東情勢|仮想通貨は清算で1億ドル以上の損失

イスラエルとイスラム組織「ハマス」の衝突が激化しています。エスカレートする中東情勢は、今週にかけて発生した市場暴落の直接的な原因となりました。清算により1億ドル以上の資産が消失したものを見られており、投資家からは悲鳴の声が上がっています。

中東で二大勢力が衝突

ハマスは1987年に設立された過激派集団です。反イスラエルの強硬派として知られており、1990年代以降は自爆テロなどの形で実力行使を繰り返してきました。2006年にはパレスチナ自治政府の選挙に勝利し、その後は諸外国の非難にも関わらずガザ地区を実行支配するに至っています。

軍事部門に推計2万人の人員を抱えていると見られており、その存在はイスラエルに大きな脅威を与え続けてきました。ハマスはイスラエルと敵対関係にあるイランからの支持を取り付けており、今回の軍事衝突はイスラエル支持を表明してきた欧米諸国に強い衝撃を与えています。

ロシアや中国はパレスチナ寄りの姿勢を見せており、サウジアラビアもイスラエルに対して態度を硬化させるなど、各国は足並みを揃えるに至っていません。民間人の間でも衝突が起こっており、アメリカではイスラエル支持派とパレスチナ支持派の間で暴力事件が発生する事態となっています。

各国の政治問題にも発展した今回の軍事衝突ですが、この状況は短くとも今後1〜2ヶ月は続くと見てよさそうです。民間人への被害も懸念されており、G7を含む諸外国は早期の停戦に向けて働きかけを強めています。また、人的被害の他にも仮想通貨を中心とした市場経済への影響が懸念されています。

直撃を受けた仮想通貨市場

直撃を受けた仮想通貨市場

過去1ヶ月のイーサリアムの価格(CoinMarket)

中東の混乱は、仮想通貨市場にも大きな衝撃を与えています。時価総額で最大のビットコインは、最初の攻撃が確認された10月7日から3日間で3%近い下落幅を記録しました。現在は元どおりの高値で推移していますが、今後も不安定な値動きが続くものと思われます。

イーサリアムも5%の価格下落を記録し、その他の有力銘柄も軒並み大きな下落幅を記録しています。一部の通貨は未だに下降を続けており、仮想通貨市場全体が回復するにはもう少し時間がかかりそうです。また、今回の暴落は資産の清算を引き起こすこととなり、当初証拠金を失った投資家は大幅な損失を計上しています。

仮想通貨における清算とは、証拠金要件を満たすことができなくなった投資家のポジションを強制的に閉鎖する手続きのことです。レバレッジで取引ポジションを増やしてきた投資家は大損失を被ったと見られており、特に損失が大きかった銘柄としてイーサリアムの名前が挙がっています。

イーサリアムのロングポジション精算額は3,278万ドルに上り、これは日本円で約50億円にも及びます。また、ビットコインとビットコインキャッシュも損失が大きな銘柄に名を連ねています。それぞれ1,825万ドルと300万ドルが清算されたと見積もられており、暴落の規模の大きさが伺えます。