マーケティングをするうえで自社のブランディングについて考えることが大切だとわかっていてもどうしたらよいか分からないということはないでしょうか。
成功するブランドイメージは、『ファーストフードといえばマクドナルド』のように自社のブランドが常にその業界の中でトップに来るものでなければなりません。統一性のあるブランドイメージを構築するためにもブランドマネジメントが非常に重要となります。
この記事では成功できるブランドマネジメントに必要な要素やそのプロセスについて徹底解説をしていきます。
ブランドマネジメントとは?
ブランドマネジメントとは、自社のブランドを効果的に活用するため、ブランドを開発・企画・運用する一連の包括的な業務のことを指します。ブランドマネジメントを強化することで、ブランドと統一性のあるコンテンツをつくることができ、自社のブランドイメージを顧客心理にはっきりと植え付けることができます。
ブランドマネジメントは様々なマーケティングチャネルで展開されるため、一貫性のあるアプローチが不可欠となります。マーケティング活動には一般的な広告ポスターからブログやメールマーケティング、ソーシャルメディアを使ったSNSマーケティングなど幅広く含まれますが、ブランドマネジメントが徹底していないと統一性のあるプロモーションができず、ブランドイメージを強化することができなくなります。
効果的なブランドマネジメントを展開することで、それぞれのチャネルの特性に合わせたマーケティング活動を実行し、効率的にブランドイメージを顧客に届けることができます。
ブランドマネジメントの利点とは?
ブランドマネジメントは異なるマーケティングチャネルやアセットをひとつの集合体として捉えて効果的なブランドイメージを徹底する必要があります。マーケティングチャネルやアセットでは動画マーケティングやインフルエンサーマーケティングなども含まれ、幅広くマーケティング活動を同時展開することになるため、複雑化しやすいのが特徴です。
ブランドマネジメントが機能すると以下のような利点が得られます。
- すべてのマーケティングアセットが統一性のあるブランドイメージを共有
- 顧客が自社にポジティブな印象を覚えることができる
- チームが効率的にマーケティング活動を展開できる
- 自社ブランドの認知が向上し、業界内での知名度が上がる
上記の通り、ブランドマネジメントの目的は自社の製品やサービスを連想させる強いブランドイメージを作り上げることにありますが、その成功例としては日本のKFC(ケンタッキーフライドチキン)が挙げられるでしょう。KFCはクリスマスのイメージが日本では定着していますが、コロナ後には「今日、ケンタッキーにしない?」のキャッチフレーズをテレビやSNS、ディスプレイ広告などのマーケティングチャネルで展開し、それまで割高で特別感のあったイメージから若年層が一人で食べるブランドイメージ作りに成功しました。コロナ禍では苦境に陥った外食産業ですがその中でも“外食するならKFC”というイメージを作ることができたのも効果的なブランドマネジメントの成果です。
ブランドマネジメントの主な要素
ブランドマネジメントはブランドだけでなく、会社全体のワークフローにも影響を及ぼす重要な箇所です。ブランドマネジメントによってマーケティング活動やセールス活動が決まってきます。ブランドマネジメントでは以下の7つの要素が重要な鍵となります。
- ブランドエクイティ
- ブランド認知
- ブランドアイデンティティ
- ブランドネーム
- ブランドロイヤリティ
- ブランドイメージ
- ブランドバリュー
ブランドエクイティ(Brand equity)
ブランドエクイティとは、簡単にいうと“ブランドが持つ資産価値”という意味で、ブランドを無形資産として評価し、価値を高めるために投資していく考えや価値基準のことです。『ブランド』は概念的なものでそれだけでは意味を持ちませんが、そのブランドが持つ知名度や信頼度を株式などの有価証券や不動産などと同じような“起業の持つ資産価値”として評価する姿勢からブランドエクイティという考えが生まれました。
例えばスポーツ業界で言うと欧州のサッカークラブは歴史が長いことから、タイトルから遠ざかっているような中堅・弱小チームでも現地での知名度の高さからブランドエクイティは高いと評価されて海外の投資家が買収するケースが多くあります。
ブランドエクイティを高める利点として、ブランドイメージが高まることでリピーターが増えたり、固定客層が増えること、ブランドエクイティの低い競合他社と価格競争をする必要がなくなることなどが挙げられます。
ブランド認知 (Brand awareness)
ブランド認知とはあるマーケットにおいて自社ブランドがどれだけ認知されているかという考えで、ブランドの認知度によってマーケティング手法を選定することができます。例えば海外出張した際に現地の無名の牛丼屋を選ぶか、日本のチェーン店を選ぶかといえば、日本のチェーン店を選ぶ日本人客は多いでしょう。
ブランド認知度が強ければ、顧客は複数の選択肢がある場合認知度が高いブランドを選ぶ傾向にあり、それだけ優位性が高いことになります。ブランド認知度が高ければそれだけソーシャルメディアマーケティングでも効果的なマーケティング活動を展開することができます。
ブランドアイデンティティ(Brand identity)
ブランドアイデンティティとは自社ブランドの全体像のことで、幅広い要素から形作られます。アイデンティティの要素は社のロゴから色、デザイン、写真のスタイルなど様々な細かい点にまで及びます。例えばコカ・コーラはあの赤と白の色が強いブランドアイデンティティになっていますし、ロゴのフォントだけでもコカ・コーラであることが分かるほど強いアイデンティティとして浸透しています。
ブランドアイデンティティが強いほどマーケティングのアセットも統一性が高まるため、ブランドアイデンティティは重要な要素であることを覚えておきましょう。
ブランドネーム (Brand name)
ブランドネームとは競合他社と同じ業種で差別化するために重要な要素です。ソフトドリンクはたくさんの種類やブランドがありますが、その中でもコカ・コーラやペプシ・コーラは特に高いブランドネームとしての地位を築いています。ブランドネームが覚えやすいほど顧客のブランド認知度は高まりやすくなります。
ブランドロイヤリティ (Brand loyalty)
ブランドロイヤリティとは、顧客が自社ブランドをリピートする確率が高まるようなロイヤリティ(忠誠心)の高さを表しています。顧客がそのブランドを好きになればなるほど、「自分は絶対に他社製品は買わない」「このブランドは自分のブランドなのだ」と強いコネクションを覚えるようになり、商品購入のリピート率が高まります。
ブランドロイヤリティの度合いが分かると、自社製品の品質やサービスのユーザーエクスペリエンス、ブランドのマーケティング努力、どれだけそのブランドがトレンドなのか、などの改善点を包括的に計画しやすくなります。
ブランドイメージ(Brand image)
ブランドイメージは現在のユーザーから潜在的なユーザーまでが持っているそのブランドに関する全体的な印象のことです。ブランドのロゴやパーソナリティ、その他ブランドが関係する視覚的なコンテンツなどを包括的に含みます。
ブランドイメージは結局のところターゲットにしているマーケットにおけるユーザーが自社に対して持っている印象・イメージということになりますので非常に大事です。
例えば『今治タオル』は愛媛県今治市で生産されているタオルですが、海外の安いタオルに圧倒されたことに対抗して“職人の技術でつくられた高級タオル”というブランドイメージを確立しました。
ブランドバリュー(Brand value)
ブランドバリューは自社ブランドが持つおおよその金銭的な価値(バリュー)のことで、時価総額や企業価値としても言い表すことができるでしょう。ブランドバリューが指数的に分かることでマーケターは自社ブランドマーケットにおける価値を客観的に知ることができます。例えば衣料品メーカーのユニクロは当初“安くて良い品質”というイメージがありましたが、そこから脱却して機能的で汎用性の高い定番ブランドとしてリニューアルに成功し、海外においては“日本の高級衣料品”というイメージを確立したことでブランドバリューを向上させることに成功しました。
ブランドバリューはブランドイメージや認知、アイデンティティなどの要素とも密接に関わっており、ブランドとしての総合的な価値判断としての側面が強いため重要度の高い指標と言えます。
ブランドマネジメントの効率的な方法
ブランドマネジメントは複雑なプロセスを伴うと説明しましたが、これはブランドに関するイメージやバリューなどの7つの要素に加え、さまざまなマーケティングチャネルやアセットを同時に展開する必要があるためです。効率的にブランドマネジメントを行うためには以下の点を重要視しましょう。
- ブランドの名前
- ブランドのロゴ
- ブロンドのテーマカラーを決める
- 各マーケティングアセットごとのフォントを決める
- 写真やビデオ
- ブログやメールキャンペーン、ソーシャルメディアへの投稿におけるトーン
- 製品やサービスに使うパッケージやラベルの質
ブランドが伝えたいメッセージとは?
まず初めにブランドが広告展開する上でのストーリーを考えましょう。自社のブランドやサービスを通してどんなメッセージを顧客に伝えたいのかを考えてください。
伝えたいメッセージを考えることで顧客とのコミュニケーションの糸口を掴むことができます。
ブランドのUSPは?
ブランドマネジメントを効果的に行うには自社ブランドのUSP(ユニークセリングプロポジション)を明確にすることが重要です。USPとは自社ブランドや製品が他社とは差別化できるユニークで独自性のあるセリングポイント(売り)という意味で、自社のUSPを理解することで自社のブランドイメージやエクイティ、アイデンティティを定義づけることができます。
例えば効率の良いブランドネジメントではロゴやブランド名、テーマカラーなどを考案する際、自社のUSPを徹底分析することで最善の答えを導き出すことができます。こうすることで顧客心理に最も刺さる広告やコンテンツマーケティングにも展開することができ、それがブランドバリューとイメージの向上につながります。
まとめ
この記事では起業の準備でも重要なブランドマネジメントについて、必要な要素や成功するブランドイメージの作り方を解説しました。
ブランドマネジメントでは顧客に伝えるメッセージを考えることが何より大事ですが、これはブランドイメージとアイデンティティ、ブランドバリューなどに直結していきます。ブランドマネジメントは様々なマーケティングチャネルとアセットを同時に展開し、統一性のあるブランドイメージを提供することが重要とされています。
効果的なマーケティング活動を展開するためにも、CRMや3C分析などのマーケティングツールを習得することも大事です。ブランドマネジメントとマーケティングによって営業のセールスイネーブルメントが効率よく展開できるようになりますので、本記事を参考に効果的なブランドマネジメントを行うようにしましょう。