暗号資産(仮想通貨)データプラットフォーム大手のCoinMarketCap(CMC)リサーチは9日、2024年第3四半期(Q3)の仮想通貨市場分析レポートを発表した。
レポートによると、Q3は全体的に弱気相場が続いたものの、ビットコイン(BTC)の強さが際立ち、ステーブルコイン市場は成長を続けた。
ビットコイン優位性が顕著に
Q3の仮想通貨市場は、全体的に弱気相場が続いた。CMCの恐怖・強欲指数は26から63の範囲で推移し、市場センチメントは一貫してベアリッシュだった。
その中で、ビットコインの優位性が際立った。ビットコインのドミナンス(時価総額シェア)は56.8%に達し、2021年4月以来の高水準を記録。これは、投資家がリスクを避けてビットコインに資金を集中させている傾向を示している。
一方で、アルトコインシーズンインデックスは29にとどまり、ビットコイン以外の仮想通貨の相対的な弱さが浮き彫りになった。
ステーブルコイン市場の成長
Q3の注目すべき動向として、ステーブルコイン市場の成長が挙げられる。ステーブルコインの時価総額は1600億ドルを突破し、過去最高を記録した。これは2021年4月の時価総額の2.5倍に相当する。
この成長は、市場に大量の流動性が存在することを示唆している。投資家は、次の投資機会を待ちながら、資金をステーブルコインで保有していると考えられる。
特に、PayPalのステーブルコインPYUSDは86%の成長を見せ、時価総額ランキングで6位に浮上。ソラナへの展開や、Venmo、Crypto.com Payなどとの新たな提携により、主流採用が加速している。
DeFiセクターの苦戦
一方で、分散型金融(DeFi)セクターは苦戦を強いられた。DeFiの総ロック価値(TVL)は年初来高値から21.4%下落。特に貸借プロトコルやイールドアグリゲーターなどのインフラ関連セクターは30%以上の下落を記録した。
この傾向は、投資家がDeFiやインフラプロジェクトからAI、メディア、ミームコインなど、よりスペキュレーティブで消費者志向のセクターにシフトしていることを示唆している。
しかし、ブリッジ、実物資産(RWA)、デリバティブなどの一部のセクターはTVLの増加を見せており、DeFi市場内での資金の移動が起きていることがうかがえる。
Q4に向けては、米国大統領選挙などの不確実性が解消されることで、市場の安定化が期待される。過去10年間の平均では、Q4のビットコイン価格は90.33%上昇しており、今年も同様のトレンドが続くかどうかに注目が集まる。