未来的なデジタル砂時計に光るイーサリアムのシンボルが入り、ネットワーク接続と時計の歯車に囲まれた様子。高速化するトランザクションを表現。

イーサリアム(ETH)のコントリビューターであるBen Adams氏は5日、イーサリアムの新しい改良案(EIP-7782)をGitHubに提出した

この提案は、イーサリアムのスロットタイムを12秒から8秒に短縮し、処理速度向上や取引所の効率化を目指すものだ。

スロットタイム短縮の狙い

提案によると、スロットタイムの短縮には以下のメリットがある。

  • ロールアップの遅延を削減
  • ピーク時の帯域幅要件を下げながら、トランザクション処理量を約33%増加
  • 帯域幅使用を時間的に分散し、ネットワーク効率を維持

Ben Adamsは、この変更がブロブ数を6から8に増やすか、ガス制限を30Mから40Mに引き上げるのと同等の効果があると述べている。

ただし、ピーク時の帯域幅を増やすことなくこれらの改善が実現できる点が特徴だ。

取引所への影響と課題

イーサリアムの共同創設者であるJustin Drakeは、この提案を支持する理由として、UniswapなどのDEX(分散型取引所)の効率が約1.22倍向上する点を挙げている。

これにより、年間約1億ドルのCEX-DEXの裁定取引コストが削減され、ユーザーの取引環境が改善される可能性がある。

一方で、スロットタイムの短縮には課題もある。イーサリアムコミュニティのメンバーであるKolbyMLは、ハードウェア要件の変化や実行状態の成長、ソロビルダーの時間的制約などの潜在的な問題点を指摘している。

また、地理的な多様性への影響も懸念されている。北米や欧州以外の地域でのノード運用に支障が出る可能性があるためだ。

今後の展望と議論の行方

この提案は現在、イーサリアムコミュニティ内で活発に議論されている段階だ。技術的な実現可能性や、ネットワーク全体への影響を慎重に検討する必要がある。

スロットタイムの短縮が実現すれば、イーサリアムの処理能力が向上し、ユーザー体験の改善につながる可能性がある。

一方で、ノード運用者やDEX、その他のdApps(分散型アプリケーション)への影響も考慮しなければならない。

イーサリアムの進化を見守る上で、この提案の行方は重要なポイントとなりそうだ。今後のコミュニティの議論や、開発者からのフィードバックに注目が集まる。